出資金の払込み
定款を作成し、公証人の認証が完了したら、次に出資金を払い込みます。
出資金の払込み方法は「金銭の出資」と「現物出資」の2通りがあります。
金銭による出資の場合
出資金払い込みの流れ
@払い込む預金口座を決める
・発起人個人の銀行、信用金庫、農協等の口座(郵便局は不可)
・新規口座でも、既存の口座でも可
A定款等で定めた出資金を払い込む
・預入ではなく、必ず出資した名前が残る「振込み」で行います
B会社を代表する取締役が「払い込みがあったことを証する書面」を作成する
書面には以下の項目を記載します
- 「当会者の設立により発行する株式について、次のとおり払込金全額の払い込みを受けたことを証明します」という一文
- 払い込みがあった金額
- 払い込みがあった株式数
- 日付
- 本店所在地
- 商号
- 代表者の記名・押印
C通帳の写しをとる
・払込金融機関名、口座番号、口座名義人が記載されているページ(通帳の表紙と表紙の裏)と、払い込みの記載されているページをコピーします
・払い込みの記載されている部分にマーカー等で印を付けます
D「払い込みがあったことを証する書面」と「通帳の写し」を一緒に綴じる
・ホッチキス等で綴じ、各ページの継ぎ目には会社代表印を契印します
現物出資による出資の場合
株式会社を設立する際には、原則として金銭による出資が行われますが、発起人の現物出資による出資も例外として認められています。
動産、不動産、有価証券、債権など貸借対照表に計上できる金銭以外の財産で行う出資のことを「現物出資」といいます。
現物出資をする場合には、以下のような手続きが必要です。
@相対的記載事項として、定款に「現物出資に関する規定」を定める
A現物出資した財産について裁判所が選定した検査役の調査を受ける(原則)
B調査報告書を作成する(Aの調査が不要の場合)
C財産引継書を作成する
現物出資をする場合には、出資される財産の価格が相当であるかどうかを判断するために、原則として裁判所が選定する検査役の調査を受ける必要があります。
ただし、以下の条件に該当する場合には、裁判所が選定する検査役の調査を必要とせず、設立時の役員による「調査報告書」が必要となります。
- 定款に記載された現物出資財産等の総額が500万円以下の場合
- 現物出資財産等が市場価格のある有価証券である場合で、定款に定めた価格が市場価格として法務省令で定める方法により算定される価格を超えない場合
- 現物出資財産等について、定款に定めた価格が相当であるとして、弁護士、公認会計士、税理士等の証明を受けた場合
調査報告書には、現物出資される財産の名称とその価格、それに対して割り当てる株式数を記載します。
さらに、設立時の役員全員が相当であることを認め、記名・押印する必要があります。
財産引継書とは
財産引継書とは、現物出資をする株主が財産を確かに会社へ引き渡したという書類のことで、出資財産の名称とその価格を記載します。